夜の水鏡の神殿。その中は夜という言葉にふさわしく静かだった。神殿の中は二人の男女を残して誰もいなかった。
シリアの誕生日パーティが終わったあと、シンはシリアに話があると言って神殿に残った。レンやココナはシンの邪魔はしてはいけないと考え、自分が住んでるにも関わらずその神殿から出て行った。今この神殿にはシンとシリアの二人っきりだった。
シリアの部屋の中にあるベッドの上に腰掛けてシンは隣に座るシリアに話しかける。
「みんながいなくなると、この神殿も静かだな」
「うん。昼間は参拝客が来るし、夜はレンとかココナちゃんがいるからどっちも賑やかだもんね」
「そんなに賑やかなのか」
含みを加えた呆れ笑いを浮かべる。
「でも、とても楽しいよ」
「そうか……」
シンの言葉が止まる。急に話が途切れてシリアは小首を傾げる。
「シンくん?」
「……すまなかった」
「え?」
「シリアを驚かせようと思ってしたことが、シリアをやな気持ちにさせてしまって……」
「う、ううん。もう気にしてないよ……」
「……シリア。え」
シンが虚を付かれた様な声をあげる。シリアが自らこちらに体を寄せ、額を自分の胸にくっつけてきたからである。
「……ごめん。やっぱり、すごく寂しかった……」
シリアの声は震えていた。その声は悲しみの色になってた事に気付いたシンは罪悪感に駆られる。
シンはシリアの肩を優しく抱いた。
「シリア……ごめん」
「すごく、寂しかったんだよ……みんな覚えていないと思ったし、それに、そんなときにシンくんとも連絡が取れなかったもん」
「……すまない」
自分の服が濡れている事にシンは気付いた。それがシリアの涙によるものだということはすぐにわかった。
「……シリア」
「シンくん……んっ……」
自分の額が相手の体から離れたと気付いた後シリアは、自分の唇とシンの唇が重なったことに気付いた。
「ん……シリア」
シリアの頭部に手を添えてシリアを味わうかのようにシンは口付けをしていく。そして離れたとき、シンとシリアの唇の間に光る糸が出てはすぐに消えた。
「……その悲しみは俺が原因だ。だから、俺がその悲しみを癒すよ……」
再びシンはシリアと口付けをする。今度は深く。シリアの口内に自分の舌を侵入させる。
「ん、んぅん、んふっ」
シリアが着ていた巫女服の合わせに手を掛け、そこを広げていき、白衣を下へと下ろしていく。露になったシリアの肩に手を掛けて、首筋やうなじへとキスを下ろしていく。
相手の口から艶っぽい声が漏れるのを聞きながら愛撫を続けていく。シリアの肩に手を置き、ゆっくりとシリアをベッドの上に押し倒していく。シリアのその水色の髪がシーツの上に広がっていった。
片手をシリアの緋袴の中へと入れていき、シリアの秘部を覆っている下着の上へと指を這わせていく。
「んっ、うん……っ」
「ここ、少し湿ってきてるよ……」
下着の上から指を軽く押し付けてやるとシリアの身体が一瞬ビクッと反応する。
少し湿り気を帯びたその場所をシンは擦るような感じで指を動かしていく。指を動かすほどにその秘部は濡れていき、下着の布の上からでもシンの指を濡らしていった。
「もう、こんなに濡れてきたよ」
緋袴の中から指を出してシリアの愛液で濡れた指を相手に見せる。その指は部屋の灯りに照らされて光を反射していた。
「や、やぁ……っ」
自分の愛液で濡れた指を見せられ、シリアは羞恥に頬を染める。
「シリアって、えっちなんだな」
「そ、そんなこと、ひあぁっ!」
シリアが反論しようとしたが、その前にシンがシリアの胸を手で握り片方の胸の頂を舐めたために感じてしまい反論が出来なかった。
「こんなにも感じてるし、乳首も、硬くなってきてるよ」
「あ、あ、あぁっ」
シンの愛撫と、その口から発せられる言葉に翻弄されながらシリアの身体はどんどんと熱を増していく。
シンは唇を胸から離し、その豊かな両方の乳房の体を両手で握り、親指で両方の乳首をクリクリと転がすように触っていく。そのようなささやかな動きでさえ、シリアの思考をどんどんと奪っていった。
緋袴の帯を外し、朱色の袴を脱がせていく。露になったシリアの太腿に手を当て、残った手で下着の上から秘部を弄っていく。
「シリア、気持ちいい?」
「はぁん、はあ、はぅん……」
相手の質問には答えず、シリアは喘ぎ声を出し続ける。
太腿に這わせていた手を離し、その手の親指でシリアの下着に手を掛けて横へずらせていく。丸見えとなったシリアの秘部の中に指を侵入させていく。その中は思ってた以上に濡れいた。そのまま軽く指を動かしてみることにした。
「ひあん!」
自分の膣を弄ばれ、身体を震わせながら更に艶っぽい声をあげていく。
愛液が溢れ出していき、次第に卑猥な水温が部屋の中に鳴り響いていく。
「シリア、少し腰を浮かせて」
透けるほどまでに濡れたその下着を脱がせるため、一旦愛撫をやめる。
シンに言われたとおりシリアは腰を少しだけ浮かせる。その隙にシンは下着を引き抜き、再び愛撫を始める。
今度は太腿の裏側に手を添えて、自分の舌をシリアの秘部へと這わせる。シリアの愛液ですっかり濡れそぼってるそこはどんどんと溢れていき、シリアの太腿、お尻を伝ってベッドのシーツまで濡らしていく。
「すごい濡れてるな……」
「や、やぁ、あ、あぁん……っ」
シリアが快感に身体をよじる。その艶かしい動きを見ながら、シンは指をシリアの膣に入れ、残った手でベッドの上に広がるシリアの水色の髪の上に手を置き、上を向いている胸の頂へと舌を持っていく。
「あ、あんっ、はんっ、はぁん……!」
指でシリアの膣を責め、舌でシリアの乳首を舐めていく。その愛撫にシリアの息遣いが荒くなっていった。
自分の膣をいいように弄ばれ、シリアの思考は徐々に途切れていく。
「だ、だめ……っ。おかしく、なっちゃいそう……」
すっかりと頬を染め、恍惚の表情となったシリアの顔を見つめてシンは膣に入れた指の動きを止めて、シリアに尋ねた。
「そろそろ、入れてほしい?」
その質問を聞いたシリアは、少し間を空けた後、薄っすらと涙を浮かべた熱っぽい瞳でシンを見つめながらコクンと頷いた。
「それじゃあシリア、力を抜いて」
「う、うん……あの、シンくん」
「なんだ?」
「お願い、灯りを消して……」
「……いいよ」
シリアの願いを聞き入れて優しく微笑んだシンは部屋の明かりを消す。部屋の中を一瞬で暗闇が覆ったが、月明かりなどのおかげでなんとか相手の顔を見る事が出来た。
「シリア……」
名前を呼ばれ、出来る限りシリアは身体の力を抜く。
何度かシンと身体を重ね合わせているうちに、どうすればいいのかがわかってきていた。だが、それを理解していくのと同時に自分の身体がシンを求めている事にまでは、シリア自身も気付かないことだった。
すっかりと屹立した自分の肉棒をズボンの中から取り出し、シリアの濡れそぼった秘部へとあてがう。
先端を入れ、ゆっくりと膣へと押し進めていく。濡れそぼったそこは、容易にシンの分身を受け入れていく。
「ふあ、あ、ああぁ……!」
肉棒の根元がシリアの身体に付くぐらいまで押し入れた後、シンは先端ギリギリまで引き抜き、それを一気に押し進める。
「はぁっ!」
シリアは腰を浮かせて喘ぎを漏らす。その喘ぎ声を聞きながらシンは相手の腰を持って肉棒をまた引き抜いては再び押し進めていく抽挿を繰り返していく。
身体を上下に揺らすと一緒に、天を向いていたシリアのそのふくよかな乳房も前が開いた白衣の間からプルプルと上下に揺れ動いていくのが見えた。
「はっ、あっ、あうっ!」
腰を動かすほどにシリアから漏れるその声は艶を増していく。
「シリア、俺の上に乗って……」
自分が上に着ていた服を全て脱いで抽挿を止め、シンは自身を入れたままでシリアの身体に手を掛け、自分は後ろに下がるようにしてベッドに横になり、相手と自分との態勢を逆にした。
「あ、あっ……」
シンの肉棒が自分の奥深くへと入っていくのをシリアは感じた。
シンは腰を動かし始める。二人が乗っているベッドがその揺れにギシギシと悲鳴を上げるが、シンはそれに構わず続けた。
「はっ、あぁっ、あ、あはぁっ!」
自分の肉棒がシリアの奥へと入っていくのを感じながら腰を動かし続ける。
「ふぁ、あ、あぁんっ」
大きく揺れるシリアの胸のふくらみにシンは両手を這わせて、下から持ち上げるような感じでシリアの胸を掴む。
「気持ちいい?」
「あう、き、きもち、きもちいいよぅ……」
「そうか、それはよかった……」
素直な気持ちを言ってくれてシンの表情が自然とほころぶ。
自分の上で喘ぐシリアの口からは無意識に涎が流れていた。シリアの白衣を脱がしてベッドの下に落とす。シリアの裸体が月明かりに照らされ、とても色っぽく、美しい絵になっていた。
シリアはシンの胸板に手を乗せ、快感に身を委ねていた。そして少しづつ、快感でシリアは我を見失っていく。
「あ、あぁ!だ、だめぇ、これいじょうはだめぇ……」
「なにがダメなの?」
シリアの発した言葉を聞き取ってシンはニコッと笑って尋ねる。
「こ、これ以上されたら……変になっちゃいそうなのぉ……」
「大丈夫だよ、シリアはシリアだよ……」
優しく微笑み、相手に語り掛ける。
そう言いながらシンは上下の抽挿を早めていく。今までなんとか持ち堪えたが、実のところシンは既に限界が近づいていた。だがそれはシリアにしても同じだった。
「あ、あぁん!は、はげしいよシンくん!」
身体をシンの方に倒していき、相手の首元に自分の腕を巻きつけていく。
抽挿を続けていくうちにシンの表情が苦しそうな表情になっていった。
「だ、めだ……シリア、そろそろ、でる……っ」
「え……?シ、シンくん、ちょっと、まって……」
「で、出るっ!くっ!!」
「ま、待ってシンくん、ちょっとまっ……は、はあぁあぁん!」
シリアが身体を大きく揺らして絶頂がきたことを知らせる。
肉棒がシリアの膣で大きく脈打っていき、シリアの膣に白い印を流し込んでいく。
互いに肩で大きく息をし続ける。身体は両者ともに、行為中による汗などで濡れていた。
シリアの胸に顔を埋めながら射精を終えて、シンはシリアの顔を見つめる。
「す、すまない……中に出ちゃって……」
「う、ううん。いいよ。今日は大丈夫な日だと思うし……それに」
「……?」
「シンくんとだったら、私、出来てもいいと思うの、その、赤ちゃんが……」
最後らへんでシリアは顔を赤くした。
シンは目を丸くしたが、すぐに微笑んでシリアを自分へと寄せた。
「ん……シン君……」
シンに寄せられながらシリアはシンと唇を重ね合わせた。
「そうだ、シリア」
「なに?」
「シリアに渡したいものがあるんだ」
ベッドの中、シリアと一緒に入っていた布団から出てシンは自分が脱いだズボンのポケットから小さめの長方形の箱を取り出した。
「これ、シリアに」
渡された箱をシリアは丁寧に開けていく。
箱を開けるとその中には白銀のペンダントが入っていた。シリアは不思議そうな顔でシンを見つめた。
「これは?」
「天使の涙って呼ばれる宝石、『エンジェル・ティア』だ」
「エンジェル・ティア?」
「これは天使が流した涙の雫が固まって宝石になったて言われてるんだ。この石には聖なる力が込められていて、持つ人を守ってくれるっていう力があるらしいんだ」
「確かに、安らぐわ……」
ペンダントを持った手を残ったで覆って、大事そうにそれを握り締める。
「俺からシリアに、誕生日プレゼントだよ」
「ありがとうシンくん。これ、大事にするわ」
二人はそれ以降何も喋らなかった。その場に沈黙が現れたが、それは緊張や気まずいものではなく、安らぎと和みのある静けさだった。